カウンセリングの知識・技能

聴かない聞き方とは

正面、横向き、背を向ける、など、身体の向きを変え、かつ全く別の作業を行ったり、相槌の有無などで、物理的には聞いているけれど、内容を聴いてないというのはどういう影響を与えるかを知る。

使用するスキル・リスト

是認・保証
クライアントを理解していることを示す、クライアントが感じていることは正常、当然であることを示す、不安を軽減しようとしていることを示す、クライアントの言動を認めていることを示す
「あなたのことが心配です」「それは辛いですね」「あなたは正しいと思います」「どのようなことがあったのかわかりました」「上司がそんなことを言うのは悲しいですね」「正しい判断だと思いますよ」

閉ざされた質問
クライアントの情報を得たり、コーチの認識が正しいかを確認するためにつかわれる。
「予定されていた仕事は完了しましたか?」「あなたは今の仕事が向いていると感じますか?」「本当に?」

開かれた質問
クライアントの思考や感情について、クライアント自身が明確にしたり、クライアントが自らの思考や感情の探究をしたりするのに有効。答えが「はい」「いいえ」あるいは一言二言で限定されないようにする。明確化や探究を促すことを意図する場合に限り、指示的に発しても良い。
「どのようなことでお困りなのでしょうか?」「それについて、もっと話していただけますか?」「最近そのように感じた時のことを教えてください」「その時どのように感じたのかを具体的に教えてください」「そのことについて、あなたはどのように感じますか?」「いま、どのようにお感じですか?」「ここまで話してみて、どのように感じますか?」

言い換え
クライアントの発言の意味や内容を簡潔に繰り返したり、言い換えたりすることで、クライアントの言いたい事をより具体的で分かりやすくする。
「◯◯だと感じているのですね」「もう◯◯だということですね」「順調そうですね」「もどかしい気持ちなのですね」「前回◯◯でしたが、その原因がわからないと言ってましたね」

感情の反映
クライアントの発言から、その感情を特定し、その言葉を繰り返す、あるいは言い換えることで、その感情を抱いているということをはっきりと理解する。クライアントが直接的に発した感情を表す言葉をそのまま繰り返すこともあれば、言外の感情を汲み取って確認のために言い換えて発する場合もある。
「ご自分ができたことに満足してるようですね」「そんなことをされて傷ついたんですね」「この問題をどうしているかわからず不安に感じているんですね」「もどかしいと感じてるんですね」

解釈
コーチの感情・解釈が入り、コーチの言葉で伝えることで、クライアントが新しい視点で問題を捉えることができるようにする。一見関係が無いと思われる発言や出来事を紐づけて伝えることもある。
「おそらく、新しい職場で新しい知識を学ぶので手一杯で、語学の勉強には集中できなかったんですね」「本気を出してしまうと、失敗した時の言い訳ができないので、あえて手を抜いて逃げ道を作ってるんですね」「パートナーのおかげで、あなたは自分のこれからの人生やキャリアについて、あらゆる決断をしないで済んでるのかもしれません」

自己開示
自分の話をする

即時性
その場での感情を開示する

カール・ロジャーズ(1902-1987)

来談者中心療法

人間は、自ら成長し、自己実現しようとする自己成長力を内在している、との観点から、非指示的な来談者中心療法を提唱した。

自己概念とは、人がだれでも持っている自分自身のイメージのことで、自己概念に歪みがあると、自分のイメージや自分はこうあらねばならないという思い込みによって固定され、柔軟に考えることができない状態(不一致の状態)になる。ロジャーズは、ストレスや神経症の原因は、自己概念と実際の経験の不一致にあると考えた。

その不安定なクライアントの状態を、カウンセラーの誠実な人間性と肯定的配慮、感情的被影響による同一化を排除した心情的共有(受容、共感、自己一致)により自己概念に柔軟性を持たせることができる。

カウンセラーとクライアントの関係性に着目し、人間の変容と成長を促す技法として「来談者中心療法」を提唱した。クライアントの価値観を認め、自己成長力を信頼し、ありのままを認めることにより、クライアントも自身を尊重し、価値ある存在と認識ができるようになる。カウンセラーが体得すべき基本的な態度や姿勢であり、現在のカウンセリングの土台として受け継がれています。

ロジャーズが重視したカウンセラーとクライアントの関係性は6つ

①2人の人間が心理的な接触(ラポール)を持っていること
②クライアントは不一致の状態で、傷つきやすく、不安定な状態にあること
③セラピストはその関係の中で一致しており、統合していること
④セラピストはクライアントに対して無証券の肯定的配慮を経験していること
⑤セラピストはクライアントの内的照合枠を共感的に理解しており、その経験をクライアントに伝えようと務めていること
⑥セラピストの理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライアントに伝わっていること

特に、この中で「自己一致」「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」の3つがカウンセラーに求められる基本的な態度として提唱されている。

※自己一致:
例えば、カウンセラーが「クライエントの話はおかしい、受け入れられない」と内心では感じながらも、「私もそう思います」と反応するような状態は自己一致しているとは言えない状態となります。
自己一致は自分の気持ちを欺かないという意味合いであり、自己の感情をすべて話す必要はないとされています。